週はじめのたしなみ

戦隊シリーズにはまった成人の感想置き場

王様戦隊キングオージャー11話感想 ”物語”とは、”語り部”とは。

 10話で「戦隊」として一区切りついた王様戦隊キングオージャー、11話から追加戦士を交えて第二部開始です。今回は”物語とは何か?”が全体を通してのテーマだったように思います。

 

 

【今回のあらすじ】

 ラクレスがレジェンドキングオージャーの功績を我が物としたのを逆手に取り、ヤンマとヒメノ、カグラギはギラの国葬を利用してラクレスの権威を失墜させようと企みます。ラクレスには功績を自身の力にするためと称してギラの葬儀を行わせ、その場でギラが復活すれば……ところが謎の男、ジェラミー・ブラシエリの乱入によって計画はおじゃんに。また、バグナラクも言い伝えの奇跡を起こすためキングオージャーをばらばらにして三大守護神を奪いますが、これもジェラミーの手のひらの上であり、まんまと仮面の封印?を解除するために利用されてしまいました。デズナラク8世を爆破させたジェラミーは瞬くうちに姿を消し、謎ばかりが残されました。

 

【将を射んと欲すれば先ず馬を射よ】

 1話から10話まで、ギラの手段は何はともあれ打倒ラクレス!刺し違えてでもあいつの首を取る!でした。が、結果としてはボロ負け。純粋な力ではまだまだラクレスには及びません。その結果、ギラは”死人”として世を忍ぶことになります。また、ラクレスに対抗する切り札としてギラを取り合った王達はバグナラクに各個撃破され、あわや国が滅亡する危機に晒されました。

 それを踏まえた上での11話。そもそも国とは、王とは、民ありて成り立つもの。では、民に王と思われない王は果たして王でしょうか?1話で「民は道具、私が国だ」と言い放った男に対してのカウンターパンチとして、国葬という表舞台で真の英雄が復活する姿を民に見せるのは結構いい構図です。蛇足ですが、復活の演出でサイボーグ化(人の叡智を用いた復活)と天からの奇跡(人智を越えた力による復活)でパキッと真逆なの、ヤンマとヒメノの対比が効いてていいですね。10話のときも五国を救うのは現実的に不可能だと言っていたヤンマと、レジェンドキングオージャーの昔話を希望にしたヒメノでしたから。閑話休題

 とにかく、直接討ち取るのが難しいとなった今、アプローチの方法をガラッと変えたことがよく分かる滑り出しです。ここからまた10話くらいかけていくんですかね。

 加えて今回、”馬”であるのはシュゴッダム国民だけではなく、バグナラク勢もまたそうでした。

 

【物語――馬を射るために必要なこととは】

 今回のサブテーマとして重要なワードである”物語(言い伝え)”は、全体を通してちょくちょく触れられています。

 まず、デズナラク帝国に1000年も前から伝わっているらしい”言い伝え”。奇跡は我々にも訪れるのだと人間たちに思い知らせるものとして、デズナラク8世はこれを信じていました。

 次に、人を信じさせるには夢を叶えてやればいい、というヤンマの不言実行と対比してヒメノが主張したのは、”誰もが奇跡を信じる美しい物語”が必要ということ。

 また、『もっふんといっしょ』は国際裁判長お墨付きの”たとえウソでも怖さを忘れて勇気をもらえる物語”です。

 ギラも、キングオージャーの伝説が子供達に人気だったことから”物語は人に夢を見させる力がある”と言っています。

 国を挙げての葬儀も、「ギラが死んだと国民へ知らしめ、改めてキングオージャー降臨の力がラクレスの物であるとアピールする」というある意味PRとしての意味合いが強いため、ラクレスにとっても”物語”であると言えます。

 ”物語”が持つ意味は山のようにありますが、11話において”物語”とは、”受け手にある言動を引き起こさせるために語り聞かせるもの”という立ち位置でした。それが嘘か誠かというのは些細なことであり、結果として引き起こされる結果が狙ったものになるかならないかという話をずっとしていたような気がします。

 そして、えてして”物語”とは、思わず信じたくなってしまうようなものであればあるほど良い”物語”です。バグナラクの恐怖に怯える子供たちにとって『もっふんといっしょ』という(おそらく)日常系のゆるアニメは、たとえ一時でもかつての穏やかな日常を思い出させてくれるものでしょう。また、(多分)ずっと辛酸を舐めさせられていたバグナラクの昆虫怪人達にとって、”世界がひっくり返る”言い伝えは思わず縋ってしまうようなものだったと想像できます。

 つまり、人を動かしたいのなら、信じさせる、夢を見せるような物語を語ることが重要ということです。

 

【時代遅れの語り部、ジェラミー・ブラシエリ】

 そもそも”語り部”とは何でしょうか。

語り部【かたりべ】

古代、文字のなかった時代に語り伝えられてきた神話・歴史・伝承等を口誦(口頭)で語り伝えることを職掌(職務)としていた人々、ないし集団。

語り部(かたりべ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

 元来、語り部とは文字として記録できなかった物語を覚え、記録し、語り伝える人のことです。いわば物語のソースです。

 では、その語り部が物語を都合のいいように変えてしまったら?そんな物語の信頼性の根本を揺るがすような存在として登場したのが今作の追加戦士、ジェラミー・ブラシエリでした。

 彼の語り部としての能力は結構すごい。仮面の封印は誰にかけられたものなのかは分かりませんが、三大守護神のソウル全てを集めなければならないというのはなかなかにハードです。彼はそれをバグナラクに肩代わりさせるために、わざわざ1000年も前からさもバグナラクに栄光をもたらす金言かのように言い伝えを忍ばせました(1000年かかるなら自分で集めた方が……とも思ったけど、超長命種っぽいジェラミーにとっては1000年はちょっと長めのお昼寝タイムくらいなのかもしれません。おちおち寝てもいらんねえなぁとか言ってたし。マジで……?)。

 とにかく、”物語”をものの見事に信じさせて目的を達成したジェラミーは流石語り部といったところです。”物語(おとぎ話)”を子供を眠らせるためのものとして「(将来への希望ではなく、淡い期待としての)いい夢は見れたかい?」と言い放つあたり、なんともこ憎たらしいですね。いいキャラしてます。

 しかも面白いのが、この語り部はメタ的に我々視聴者にとっても”語り部(ナレーション)”だったというところです。視聴者にとってナレーションとは物語の土台であり、前提であり、基準です。そんなラストのナレーションがこちら。

「これはチキューの平和を守る王たちの物語。

 そして、これから王になる――俺の物語さ。」

 いやギラじゃないんかい!根底を覆さないでほしい!

 テレビの画面を飛び越えて視聴者の世界も”ひっくり返す”、そんなジェラミー・ブラシエリ。前作のドンブラザーズしかり、前々作のゼンカイジャーしかり、追加戦士は少し悪サイドというか、信じていいのか仲間になれるのかよく分からないスタートになる傾向が強い気がします。これより前の作品は未履修なので分からないんですけど……。

 

【”悪”の定義】

 また、今回ジェラミーはギラに一つの謎かけをしています。

「バグナラクは、本当に人類の敵か?」

 初登場回でうんこの話を長々とするのは正直どうかと思いますけど、話していることは至極まともというか、物事とは常に表裏一体、一利一害であるという話をしています。

 たとえば、最初は「ウソは公平じゃない」とギラ奇跡の大復活計画に乗り気でなかったリタですが、フィクションである『もっふんといっしょ』が勇気を与える物語だと言われて説得されています。ウソはいけない、でも勇気を与えるものでもある。物事とは一面だけでは判断できないということです。

 では、バグナラクはどうでしょう?ギラも、そして我々視聴者も、バグナラクは2000越しにまた地底から地上を攻めてきた侵略者であるということしか認識できていません。何かここから先、その認識を覆すような前提が明かされるということでしょうか。うんこの話になぞらえると、元を辿れば日頃の行い(人間の行い)が体(チキュー)に現れたものであるという考え方もできますが、そこまで意味しているかまではまだ何とも言えません。

 

 また、善悪が表裏一体であるという話をするとふっと脳裏をよぎるのが、9話でギラがこぼしていた言葉です。

「これ、急所は外れてたって……。わざと外してくれたのかも……。」

 少し迷いが見える表情で呟いていたラクレスへの言葉。そのあとのヤンマの力強い否定にやや安心しているようにも見える表情で「……だな!」と返していたのは、敵と決めた相手が情を持っているとすると討ち取る決心が揺らぐからなのか。元来ギラはとても優しい子なので……。

 とにかく、今回突如降って湧いたバグナラクへの問題提起が少し手を広げてそこまで踏み込んでくれると、今後の展開がさらに楽しみになりますね。ファンの間ではラクレス偽悪説がもうかなり浸透しているような印象ですが、少なくともまだ本編では分かりやすく偽悪を描かれてはいないので。

 

【おわりに】

 第二部のスタートを華々しく飾ってくれた、数千年を生きていそうな語り部ジェラミーがなかなかに濃いキャラをしていて面白かったです。あと個人的に、リタのガチオタ仕草の解像度が高いもっふん言及シーンが一番お気に入りでした。

 来週の予告動画のチキュー語をちょっと読んでみたところ、「目撃者の供述」っぽいのがあったので、ジェラミーを探す回になるんでしょうか?楽しみです。

王様戦隊キングオージャー10話感想 我ら──王様戦隊!

 何だか言葉にならない。10話で実現していい積みあげと感動ではないです。特撮50話1年分くらいの熱さがありました。どうするんだ来週から!?

 

 

【今回のあらすじ】

 ギラはバグナラクに捕えられ、各国はボロボロ。ラクレスは「王権を譲渡する国から救ってやる」と条件を提示します。当然どの国もそんな条件を飲めるはずもなく、一度は民を守るために国すら捨てる覚悟を決めました。が、それぞれの従者の激励によって王達は団結し、2000年前の伝説だったレジェンドキングオージャーをついに降臨させます。レジェンドキングオージャーにより、各国のデズ怪ジーム達を撃破し、世界に平和をもたらしたのでした。

 

【王とは、民とは】

 今回は総まとめの意味合いが強い回だったため、キャラクターを軸にするより脚本の大筋に沿って話した方が良いですね。従者を民となぞらえて、改めて王と民の在り方を示し直し、民のために団結する話でした。物語の主軸に対しては、今回が大きい区切りとなります。

 さて、デズナラク8世によって育て上げられた繭、およびその唯一の対抗手段であるキングオージャーZEROを持つラクレスにより、四王国はこれまでで最大の危機を迎えます。進退窮まった王達の覚悟がここまで胸打たれるのは何故でしょうか。

「王だの国民だの超越してんだよ。俺達は……仲間だ。」(2話)

「嫌。この国の全部が私のお気に入りだもの。」(3話)

「民とは命なり。民のためには泥にまみれて手を汚す。

 それが私、王殿様 カグラギ・ディボウスキなのです。」(4話)

 王達が民をどう思っているかは、過去に示されていました。そんな王達へ従者たちがする提言が我々視聴者にも響くのは何故でしょうか。

 

〈ンコソパの話〉

「一丁前に……国民とか、どうでもよくないっすか?」

「あんたは王だけど、その前にヤンマ君なんすよ。

 テッペン取ること諦めたら、そんなのヤンマ君じゃないっすよ!」

 2話はンコソパの国の在り方を示す回でした。傍から見ればいっそ横暴なまでのヤンマのワンマンな国政は、最初ギラに誤解を生むほどのものでした。しかし、ンコソパの民はそんなヤンマだからこそついてきているわけです。これは憶測を含みますが、ヤンマの代になって初めてンコソパはシュゴッダムの属国めいた立ち位置から脱却し、また技術提供国としての立ち位置を確立できたのではないでしょうか。

 だからこそ、誰にも媚びずへつらわず、誰に対しても意地と頭脳で勝ち上がってきたヤンマ・ガストという男に、民は信頼と希望を託してここまでついてきているんです。たとえ自分たちを守るためだからって、頭を下げたり逃げ出すような姿なんて見たくない。いつだって、テッペンを目指すその背中を見せてほしい。何が起きてもそのケツなんていくらでも拭いてやる。だって俺たちは仲間なんだから。

 

〈イシャバーナの話〉

「ヒメノ様は、守ることに囚われております。」

「失うことを恐れているだけです。

 あなたの欲しいものは、我が道を進んだその先にしかございません。」

 ヒメノは悲しい過去を背負っている人です。彼女の両親は15年前の”神の怒り”のときに何者かに暗殺されたことが7話で明らかになりました。彼女の王としての道は、愛する者を奪われた悲しみから始まっています。おそらく、四王国の王が全員そろっていたあの治療室でこの事態に誰よりも恐怖していたのはヒメノでした。また人智の及ばない圧倒的な力によって、大切なものが奪われてしまう。15年前の悲劇を思い出させるには十分すぎる状況です。それでも、国は絶対に渡せません。失うことへの恐怖と同じくらい、手に入れて手元に置きたい気持ちが強いのがヒメノ・ランという人です。

 そしてこのイシャバーナの民もまた、ヒメノの”ワガママ”が民の幸せそのものだと理解し、そんなヒメノの在り方を知って支え続けている人々です。9話でセバスチャンが言っていたように、守りたい、失いたくないという気持ちが人一倍強いヒメノの心優しい”ワガママ”を通せるようにするのが民の務めです。失わせない役目は私たちがしっかりと果たします、だからどうかあなたは我が道をつき進んで。

 

〈トウフの話〉

「誰もが弱腰になった今こそ、ギラ殿を独占する好機ではありませんか。」

「欺き、謀り、裏をかく。皆が守るからこそ攻める。

 それがカグラギ殿のやり方でしょう。」

 クロダは9話以外で語る姿を全く見せなかった従者でした。しかし、これで少なくとも彼はカグラギのやり方を知って傍にいることが分かります。もしかしたら、まだ視聴者にも明言はされていないカグラギの真意もある程度は知っているのかもしれません。

 カグラギは今まで、自身が口八丁手八丁で外交を行う王殿様であるということは公にしていませんでした。なんせ、4話でヤンマは「ギラ捜し手伝わせんだよ」、ヒメノは「シャワー借りるの」と距離感が明らかにダチ感覚だったので。謀略に一枚かませてきていたラクレスに対してはどうか分かりませんが、少なくとも他の王達および民に対して、これまでカグラギはあくまで大らかで穏やかな王殿でした。

 しかし、一体どこまで知っているかは定かではないですが、少なくともカグラギの食えないやり口とその必要性を理解して傍にいる。その存在が改めて提示されたということに、少しだけ安心しました。

 

〈ゴッカンの話〉

 さて、ゴッカンの場合は少しだけ描写が異なります。リタとモルフォーニャに関しては、他国の主従に対して信頼関係という点では一歩出遅れています。というのも、その原因はリタ・カニスカという人にあります。

『りったん、世界中めちゃくちゃだね~。』

「そんなの関係ない。”私”が何とかする。」

『りったんはほんとに一人で何でもできる子?』

「……ううん、違うよ。でも絶対中立を守らなきゃだから。

 つらいけど一人じゃなきゃダメなんだよ。」

 中立とは誰の敵でもなく、また、誰の味方でもないということです。それを貫くにはとてつもない努力が必要となります。いついかなる状況でも、一人で立たねばならないからです。同盟や仲間というものは辛い時に頼ることができる存在でもありますが、逆に相手が辛い時には助ける、助けなければならない存在でもあります。中立は孤独と同義です。9話でモルフォーニャがこぼしたように、リタはずっと一人で何でもやってしまう、やらないといけない人でした。

『世界が終わるなら、一回くらい、誰かの力……借りたっていいじゃん。』

『もっふんは、りったんと一緒にいたいよ。』

 他三国の従者たちは「民のために在り方を曲げるな」と鼓舞するのに対し、モルフォーニャは「一度くらい頼ってほしい」とお願いします。途中、どうにももっふんの物まねができなくなって素のモルフォーニャの声が出てしまうところ、演出の妙ですね。このシーンで「ああ、今までもずっとモルフォーニャはリタに誰かを頼ってほしかったんだな」と理解させてしまうのが上手い。”モルフォーニャ”と”もっふん”の名前の字面が微妙に近いのもあえてなのか偶然なのか。これからも一緒にいたいのは誰なのか。という奴ですね。

「言葉にできない思いは……体でぶつけるんだ!」

 これをこうしてこう!(デズ怪ジームをハグで爆散)な9話のギラの脳筋コミュニケーション講座が、こんなエモーショナルなハグになるとは思わないでしょうが。でも、カブタンを洗脳から解放したのもハグですし、この物語において”気持ちを態度で示すこと、体でぶつかること”には理屈を超越したパワーがあるものなのかもしれません。間にもっふんが挟まるのは、モルフォーニャの精いっぱいというか、最大限の譲歩というか。いじらしいですね。リタ側も、もっふん相手(もっふん越し)になら本音を言えるという良い構図です。

 

〈まとめ〉

 しかし、いやはやなるほど、9話の従者回がこんな形で効いてくるのか……。確かに9話は物語の本筋はあまり進まない箸休め回でした。しかし、9話で従者の在り方を示したからこそ今回の激励が活きますし、特にゴッカンに関しては9話がないと一歩踏み出すこともなかったでしょうし。キングオージャー、無駄な(というか冗長な)話が本当に1話たりともないな……。

 そういえば、他三国は「テッペンを目指せ」「ワガママを突き通せ」「謀り欺け」と各国の王の信条を支えるメッセージだったのに対し、ゴッカンに関しては「もっふん(モルフォーニャ)はこれからもリタと一緒にいたい」とかなり個人的な”お願い”になっていたのが印象的でした。もちろん、全員が全員への愛であることに変わりはありませんが。もしかしたら、リタの物語は己の信条からの脱却というか、新しい在り方や別の大切なものを見つける話になるのかもしれないですね。

 

【降臨せよ、レジェンドキングオージャー!】

 一つの動機に全員で向き合う姿が感動的なのはいつどこでも同じです。世界の危機を前に躊躇するギラに対し、四人の王は各々らしい言葉で背中を押し、晴れて五人は口上を述べます。

 こんなに熱い展開には仰々しいくらいの口上がちょうどいいわけです。

 今作では王であることそのものが戦隊の一員である理由になるからか、名乗りは〇〇オージャーではなくそれぞれの名前でした。ここでギラが苗字を名乗らないのもまた良いですね。最後の必殺技のときにすべての国の紋章を合わせたデザインの紋章が出るのも良い。いやぁ……団結を示す全部の演出を盛り盛りにぶち込んでこれが空回りに見えない積みあげをたった10話でやり通すのが凄い。脚本の手腕が凄すぎる。

 また、今回の功績をラクレスのものになったのはある意味妥当というか、邪悪の王ギラがこのメンバーにいてはいけないというか……。表向きは死んだことになっていますので。というかこれで晴れてラクレスにはもろバレとなったわけですが。まぁキングオージャーを降臨させたらもれなくバレるのでそれはそう!次週どうするんだこれ本当に!

 

〈蛇足:戦闘について〉

 ギラに羽が生えてて「飛べるんだ!?」って思いました。あれができるならヤンマやリタ、カグラギにもそういうシーンがあることを期待しちゃう。かっこいい。

 五人そろった戦闘シーンも熱かった。近距離戦がヒメノ(両手剣)とカグラギ(片手剣)、遠距離戦がヤンマ(銃)とリタ(弓)なのがいい。全員の攻撃がうまくかみ合わさって撃破するのはちょっと、団結を示す描写としてあんまりにも熱い。

 あと、レンジャー服で一並びになるシーンでカグラギがずっと座っているの、アクターさんと演者さんの体格差がある印象を与えないようにしていて、うまい処理だなあと思いました。TTFCのアクションクラブで改めて体格差あるなあと思ったので……。

 

【さいごに】

 今回、ギラの合流だけ少々雑だと思わざるを得ませんでしたけど、もうここまで最高を濃縮したものをぶつけられたらそれくらい些事にしかなりませんでした。いや最高だなキングオージャー。これで10話しか経ってないって本当ですか?

 さて、次週はとうとう満を持して追加戦士のスパイダークモノスが登場です。10話最後、「おちおち寝てもいらんねえなぁ」で今まで無味乾燥な語り口調だったナレーションにいきなり感情というか人間味?が付与されるのでびっくりしました。

 また、公式ブログ曰く、次週のギラの葬式は王達の企てだそうです。

そして、続く11話は激闘のその後を描いたお話し。
レジェンドキングオージャーの勝利を自分の手柄にしようとするラクレスを失脚させるために、国をあげたギラの葬儀を行い、ギラの大々的な復活を目論見ます。

ラクレス打倒のため王様たちが取った手段は、なんと「国葬」!
王国ファンタジー物で「国葬」は重要なイベントだと思いますが、キングオージャーでは一体どのような国葬が行われるのか…ぜひお楽しみに!

王様戦隊キングオージャー 11話 怪奇!クモ仮面の男 | 東映[テレビ]

 どういうこと?

王様戦隊キングオージャー9話感想 ゴッカン主従に思いを馳せて

 こちらの高野先生のツイート通り、今回は「ラク~に」見られる箸休め回の色が強かったですね。とはいえ、物語が大きく動く前置きとしては意味合いの強いストーリーでした。キングオージャー、毎週楽しいな……。

ギラは圧倒的なラクレスの力の前に敗れてしまいました。
しかし、まだまだギラとラクレスの闘いは始まったばかりです。
ギラは「逃亡者」となることで、いつかラクレスを倒すための準備期間へと入ります。

— 王様戦隊キングオージャー 第9話 ギラ逃走中 | 東映[テレビ]

 先週の感想で「逃亡すぐ終わったらどうしよう……」って思ってたんですが、ここの文面を見るに、”逃亡者”期はある程度続きそうです。

 

 

【今回のあらすじ】

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 決闘に負け、死人となったギラ。キングオージャーを操るギラを何とか自国のものにするため、王達は各々手を回します。王達は各国を攻めてきたバグナラクの対処にあたるため、ギラ懐柔作戦は側近達が担いました。ンコソパ、トウフ、ゴッカンをドタバタ巡っていたギラ達の前に現れた巨大サナギムとゴッドホッパー。三大守護神のドロドロ三角関係に脳筋なアドバイスをほどこしつつゴッドホッパーと心を通わせたギラでしたが、自ら現場に足を運んで手を下していたデズナラク8世の圧倒的な力に全員打ち倒されてしまうのでした。

 

【モテ期(冷戦)が到来している最強兵器、ギラについて】

 箸休め回だった今回、ギラの物語はそこまで動くことはありませんでした。というか、ここまでの9話が怒涛すぎたというのが正しいかもしれないです。隙あらば舞台をシュゴッダムに戻してラクレスをどつきたいギラは今回リタにどつかれてようやく何とか身を隠す方向で動いてくれていました。

 ただ、前回の決闘で迷いが生まれた部分はあったようです。本来ギラは、第一印象がよろしくなかった相手でもちゃんと相手の本質を見極め、評価し直してくれる柔軟性を持つ人間です。にもかかわらず、ラクレスに対してはいつまでも殺意100%でした(見直すようなタイミングがあったかというと無かったんですが)。しかし、そこに来て決闘の場で完璧に急所を外すというラクレスらしからぬミス。そこに意図を感じてしまうのは視聴者もギラも同じだったわけですね。まぁ、すぐさまヤンマに全否定されて「だな!」で思い直すくらいの淡い迷いではありましたが。蛇足になりますが、今までおおよそクレバーに動いてきているヤンマらしからぬ全否定ではありますよね。けして全く頭の悪い人ではないんですけど、ことラクレスが絡むとつい頭に血が上るのがヤンマのウィークポイントだなと思うワンシーンでした。いつかこれでしっぺ返しを食らいそうだな……。蛇足終わり。

 また、今回のギラの役割は各国の側近たちの働きぶりを見たうえで、王と側近の在り方について問うものでした。主人公のギラには珍しく、今回はメンター的役割でしたね。そこも目新しくて面白い回でした。

「忠誠と依存は紙一重、孤高は傲慢と表裏一体だ!……僕は、子供たちと過ごしてそれを知った。

ずっと僕一人で子供たちを守っていると思っていた。でも、同じくらい子供たちに救われてた。

守ってるつもりが守られてるし、一人で生きているつもりでも誰かに支えられているんだよ」

 ギラのこの言葉は、モルフォーニャの心を少しだけ動かしました。

 

【一歩踏み出した?ものぐさ従者、モルフォーニャについて】

 今回のキーパーソンです。正直ここでピックアップされると思っていませんでした。でも確かに、リタとモルフォーニャの関係はここまであんまり示されていません。2話冒頭から後半にいたるまでヤンマとの信頼関係を示し続けたシオカラ、3話で「お二人はまだ、ヒメノ様の全てをご覧になっていない」と穏やかな後方執事フェイスで主の本質を見定めるよう促したセバスチャン、黒子のクロダは、まぁ、何か関係を示すようなシーンはありませんでしたが……とにかく、主との信頼関係が示されていた他三国と比べ、思えばゴッカンの主従に背中を預けあったり信頼して頼んだり任せたり、そういう描写はあまりありませんでした。モルフォーニャは一方的にリタのもっふん限界ムーブを盗み聞いて「萌え……!」しているっぽかったですが。他の王達とは違い、連れて歩いているようなこともありません。基本、リタは一人行動です。

「おろ?退勤ですか?私も帰っていいですかー?」

「リタ~!いた~!」

 そういえば5話でも、リタはモルフォーニャをほっぽって動いてそうな印象のムーブがちらほらと見受けられました。どこへ行くのか、何をするのか、普段からあまり伝えていないのかもしれません。というのも、リタはスーパー裁判官。チキューの国際裁判全ての審判を一手に担い、現場への出張も王自ら足を運びます(管理職がやっていい仕事の内容と仕事量ちゃうぞ)。

「あの人は一人で全部しちゃうんで!」

 モルフォーニャもそれは常々思っていたことのようでした。ものぐさで面倒くさがりなのは元来の性格かもしれないですけど、別にそれだって問題ない。だってリタは一人で何でもできてしまうから。

「あたしは~、側近ていうか跡継ぎ候補なんで。王に忠誠誓うとか、すこ~しも分からないですね」

 モルフォーニャがリタの隣にいるのは、ただ将来的に仕事を引き継ぐときに近くで見ていた方が楽だからという理由なんですかね?跡継ぎになるという目的も、リタが指名して選んだとすれば、自分の意志で王の隣に立っている他の三人とはなおのこと立場が違います。言われたからここにいるだけ。言われたからやっているだけ。ものぐさになるのも頷けます。目的意識があれば頑張れるし、なくても自分の存在意義があればやりがいもありますけど、どちらもモルフォーニャにはないんですから。

「邪悪の王に言わせれば、どちらもくだらんな!」

 ギラにとって、それは違います。ギラも、いうなれば養護園ではリタと同じような立場でした。そもそも、力のない子供たちを守るために彼は剣を取ったんでした。たった一人ラクレスに立ち向かうつもりだったギラは、一度王子としてシュゴッダムに帰った際、養護園で随分と子供たちによって救われています。何より、2話のンコソパで「また一緒にレインボージュルリラ食べようね!」と訴えかけてくれた中継映像は、ギラにとってあと一歩踏ん張る大きな原動力になっているようでした。完璧に孤高の存在なんていない、誰しもが誰かに支えられている。それが分かっていたからこそ、ギラはラクレスが民の犠牲をものともせずに侵略を行おうとしたことに怒っていたんでしたね。閑話休題

 キレイごとすぎません?とあまり納得いっていない様子でしたが、何にせよモルフォーニャはちょっとだけリタに歩み寄ることにしました。何だって一人で全部片づけちゃうリタを心配なんてしたことなかったけど、一応、念のため。別にあたしが支えられるなんて思ってないけど……。まぁ、今回リタは一人じゃ大丈夫じゃなかったわけですけども。

 

【敵としての存在感を発揮してきたデズナラク8世について】

 今までずっとギラが物語の原動力を担ってきた関係で、敵の役割はおおかたラクレスが担っていました。その反動でバグナラク勢はあまり存在感が強い方ではなかったものの、今回きっちりヴィランとしてその存在感をいかんなく発揮してくれましたね。4話でギラを奪うために全世界を人質にとった際に地下に仕掛けていた繭。怪ジームが力を蓄え、下手に手を出すと大爆発するアレ。すっかり忘れていました。シュゴッダム以外の繭は放置されていたままでした。それらに養分を送るついでに四王国の王達を全員一網打尽にするという圧倒的強さ。もうこいつ一人でいいんじゃないかな?でもチキュー地図のシーンではシュゴッダムにも巨大繭が仕掛けられていましたね。ラクレスも一応建前上戦った……んでしょうか?

 

 あとやはり今回の目玉として、この口上がかっこよかったですね!!

 いや~もう最高に恐ろしい。最強にかっこいい。100人死んでも101人殺せば問題なしという、究極の全体主義。種の存続という最終目的に向けて、ただがむしゃらに全てを破壊しつくす力。守るものがない、恐れるものがない存在は恐ろしいです。迷いがないですからね。謀略策略に気を取られすぎて、そもそもこの集団が途方もなく恐ろしいということを全く意識していませんでした。普通に敵として十分脅威何ですよね、バグナラク勢は……。

 ただ、このチキューを荒らすことへの悔い?謝罪の気持ち?はあるようでした。「許せ、チキューよ」と地を撫でる姿は少しちょっと……揺れてしまいましたね。大義のために犠牲にはするものの、チキューへの敬意をしっかり持っているの、好感が……持てる……。

 そういえば、そもそも繭を仕掛けたのはギラを奪うためでした。悪の親玉の前で大ピンチのギラは来週どう切り抜けるのでしょうか。

 

【さいごに】

 今回は高野先生の言う通り箸休め回(ゴッカン主従のはじまり、戦隊結成の足掛かりを添えて)でした。次回予告でリタのもっふん部屋にモルフォーニャが入っていたので、戦隊結成の話も進めつつ、ゴッカン主従の関係性が進んだりするんでしょうか。各国にレジェンドキングオージャーが向かい、繭から孵った巨大怪ジームを倒す流れにどんな展開がプラスされるのか楽しみです。

 追加戦士も発表されましたしね。5/14の登場らしいです。楽しみ。

 

 

 

 

 今週のヤンマ総長のアクションばちくそかっこよかった

王様戦隊キングオージャー8話感想 見えないラクレスの真意

 今回は途中のコミカル紙芝居説明が挟まれてやっとトントンくらいの難しめな話だったかなと思います。物語が大きく動くことはありませんでしたが、それぞれの思惑が交差しまくっていることが匂わされました。これ世間のちびっこたちはついてこれているんでしょうか?何にせよ毎週めちゃくちゃ楽しんでます。

 

 

 

【今回のあらすじ】

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 ギラとラクレスの決闘裁判が決定しました。その機会に乗じ、ヤンマ、ヒメノ、カグラギはギラの死を偽造するための策を巡らせます。一方、肝心の決闘裁判ではギラが不利の様子。おまけに怪ジームもギラを誘拐するために決闘裁判に乱入し、最終的にギラはラクレスに敗北し、崖から落下。運よく一命はとりとめ、ギラは追っ手の目を欺くために”死人”として逃げることになりました。

 

【死人になった敗北者、ギラについて】

 ストーリーラインとしては、ここまでが序盤としていいのでしょうか。ある意味、今回もまたひとつの区切りとしていい回だったと思います。これで来週か再来週あたりにしれっと生きていたことが知れ渡ってたらどうしましょうね。でもキングオージャーを起動するならそれができるのはギラだけなので、必然的に生きていることが確定されます。たとえ他国といえどラクレスまで届いてしまってもおかしくないとおもうので、次回あたりでもうこの死亡偽造作戦は終わるのかもしれないです。もし終わらなかった場合は、ここから各国周遊しつつ怪ジームを倒しながらシュゴッダムの目をかいくぐりつつ王としての力を学んでいくターン(物語でいう第二幕)に入る……んでしょうか?

 何にせよ、ギラは今回あえなく敗北しました。アクションを見るに、終始ラクレス側に余裕のある動きが多かったので、単純にまだまだ実力不足なのでしょうね。ラクレスに対してずっと敵意を向けていますが、実際に可能かどうかということも考慮して動けないあたり、まだまだ青いのですな。ラクレスがシンプルに非道な王だった場合あっという間に犬死にだったギラを救ったのは、まだ明かされないラクレスの真意でした。

 

偽悪の王要素がちりばめられ始めたラクレスについて】

 私がいまだにラクレスを偽悪の王と信じきれないのは、本当にご都合展開がなく彼のムーブに意思があるということに賭けられないチキンさの表れなんですが、今回結果論的にギラを救った一番の要因はラクレスと言わざるを得ません。決闘裁判の宣言の際、ラクレスが求めたのは「反逆者ギラを王家から追放、永久に牢で生きてもらう」ことでした。ギラが大人しく「まいった」などと言う性格かどうかは別として、シュゴッダムに連れ戻して死罪にしたり、国際裁判で死罪にしたりしたがっていた男にしてはずいぶんと気弱な要求です。別に国民に対しての体裁というわけでもないでしょうに、変な温情の道を残したのは何故なのか?また、最後ギラが崖へ突き落された際の攻撃も、”運よく”急所を外れていたというのはヒメノ談です。あれだけ剣技に長けているように見える男がそんな都合よく急所を外すでしょうか?ギラを殺すことが最終目的だったとしたら、舞台も整い実行できる手段もある状況であえてそれをしない理由は……?殺さなかった理由をシンプルに考えるなら「本当は殺したくなかった」なのですが、それが利用価値があるからなのか、実の兄としての情が最後に手を下すことをためらわせたのか……。ただ来週にはギラの死体捜索を命じるっぽいので、生かして逃がす気はさらさらなさそうではあります。うーん、真意が……。

 さらに今回興味深かったのは、ヒメノの策略によってラクレスの手に渡った毒薬(実際は麻酔薬)の使い道です。ラクレスはその毒薬を躊躇なく偽ヤンマにぶち込みました。「”誰”を助けると?」の言いぶりからして、その本性に気づいたうえで毒薬をぶち込んだと思うのですが、だとすると1話からずっと思っていたラクレスとバグナラク帝国のコネクションにヒビを入れかねない怪ジームの毒殺を躊躇なくやったのか?怪ジームの命のひとつやふたつ関係ない?それとも毒薬ではないこと自体織り込み済?……と結構謎の多いワンシーンでした。ただ、それは結果的に怪ジームを抱えるギラという図を作り出し、場所移動していた二人にちょうど都合よく追いついたカメラによってその図が国民にすっぱ抜かれます。あんまりにもご都合主義のため、さすがにこれはラクレスの策と思いたいところなのですが。あくまでギラを疎み国から孤立させるためにバグナラク帝国と協力して場を作り出すが、肝心のギラに手をかけること自体は踏み切れない弱さがあるということなのでしょうか。そのあたりも、本日配信された「王様戦隊キングオージャー ラクレス王の秘密」が続くにつれて明らかになる……かもしれません。

youtu.be

 

【今回のブレイン担当、すべてが欲しいヒメノについて】

 さて、今回ラクレスと並行して策を巡らせていたのはヒメノでした。題して、「ギラは私のもの作戦」。ラクレスの行動が意に反したものになった関係で、経緯は異なりますが、結果的には勝者はラクレスとなりギラは死んだことになりました(根拠が「ラクレスなら殺すために外道な手も使うはず」というラクレスの人格にベットした割合が大きい作戦だったので、まぁそれはそう)。1話でラクレスから「むしろ力を欲しているのは君の方ではないかな」と指摘されていたヤンマの陰で、実は結構力を欲しているのはヒメノなような気もします。彼女の口から言われた「愛でるために欲しい」という理由、はたして本当にそれだけでしょうか?何にせよ、彼女が言ったその一言は、次週全国王をギラ独り占め争奪戦へと駆り立てました。

「あなたたちは何もわかっていない。もう一度よく考えなさい。ギラが、欲しくないの?」

 そりゃあ欲しいよ。現在バグナラク帝国に対抗できる唯一の手段を操れる世界にたった二人のうちの一人ですよ。

 

【今回も読めないシェイプシフター、カグラギについて】

 ただ、そのヒメノの甘言もそんなに響いてなさそうなのがこの男、カグラギです。まぁ、この人の手腕ならラクレスすらうまく使ってみせる力量はありそうですからね。15年前の「神の怒り」に「過去は過去です」と当人めいた言いぶりで触れていたので、トウフでも何か被害があったんでしょうか。

 先週誰もが思っていた通り、決闘裁判を進言していたのはカグラギでした。国民へ王の力をアピールする必要があるとのこと。確かにあの実力の差を見ると、あえて同じ舞台に降りる決闘裁判を実施することによるデメリットはラクレスにはあまりなさそうですね。であれば、カグラギの進言に乗っかるのも不自然でない……のかもしれないです。ただ、ドゥーガはなぜそのようなことをカグラギがするのか、それを行わせたい意図が理解できず怪しんでいました。まぁ、ラクレスに無理やり黙らされてしまいましたが。

 ドゥーガが見抜けなかったカグラギの目的はコーカサスカブト城への潜入でした。王であるラクレスを城から出し、毒薬の手回しをうっかりミスしたように装ってヤンマとヒメノの目をそらし、ちゃっかり潜入して何かを発見していたようでした。結局、カグラギが何をしたくてこんな全てを手のひらの上で転がすようなムーブをしているのか、今回もいまいちつかめませんでした。読ませないな~。

 

【常に公平な立会人、リタについて】

 前回、子供達に剣を向け半ば脅しのような形で決闘裁判に持ち込んだ件、リタとしても思うところがあったようです。(ラクレスの言い分を信じるなら)過去に誘拐されたギラの状況には不自然な点が多いのはリタも理解しており、決闘裁判前にラクレスを裁けるかもしれないと伝えたのはリタなりの罪滅ぼしでしょうか。とはいえ、ギラはそれを断り決闘へと挑みましたが。

 決闘裁判の実施にあたり、リタが最初に天秤を傾ける行為(子供達を利用した脅し)を許容したのには何か理由があるんでしょうか?あの場にリタは立ち会っていました。ギラに対して不当な状況を許容するほどには決闘裁判を実施することのメリットをリタも感じていた?それはまたカグラギから何か言われてのことなのかもしれません。現在、リタは何か目的を持って動いているようなそぶりはなく、あくまで中立、舞台としての役割を担っている面が強いような気がします。前回「神の怒り」との因縁が明かされたヒメノのように、リタにも物語を動かす原動力のような設定が明かされることはあるのでしょうか?

 

【さいごに】

 今回、特に物語の進行にかかわるような部分がなかったためヤンマの大項目は外しています。とはいえ、ヤンマは今回面白シーン満載でしたけどね(血気盛んな応援団団長)(心の友よ)。まぁ前回が結構いいとこ尽くしだったのでいい塩梅です。

 次回、ギラの死人設定がいつまで続けられるかによって、この脚本の大きな構成の骨組みが見えてきたらいいなと思います。

 

 

 

ヤンマ総長の特攻服べらぼうにかっこいい

胸の「ンコソパ」と腕の「テッペン」を読むためにチキュー文字ちょっと勉強しちゃった

王様戦隊キングオージャー第7話感想 開示されたヒメノのセントラルクエスチョン、そしてヤンマの正式な”仲間”入り

 

【今回のあらすじ】

 ラクレスが操るキングオージャーZEROを破壊したと思われているギラはシュゴッダム国民から極悪人と呼ばれ、児童養護園でかくまわれることになりました。一方、ヤンマとヒメノは、ゴッドスコーピオンの毒に侵されたシュゴッドたちをどちらがより早く直(治)せるか対決します。その最中、ヒメノがゴッドスコーピオンに執着する理由は15年前に災害「神の怒り」が原因であることがわかりました。というのも、その災害は謎の男によって起こされ、ヒメノの両親はサソリの毒らしきものをその男に盛られて殺されたとのこと。ゴッドスコーピオンをばらばらにして仇討ちをしようとするヒメノに、ヤンマは「責任は全部、命令する人間にある」と諭します。そのころ一方、バグナラク軍がゴッドカブトを奪おうとシュゴッダムを襲撃しました。ゴッドカブトを助けるために現れたゴッドスコーピオンに、ギラは対話を試みますがあえなく失敗。暴走気味なギラに対してヤンマは仲間を頼れと渇を入れました。ヒメノはゴッドスコーピオンと心を通わせ、協力してバグナラク軍を打ち倒しました。

 しかし、児童養護園に帰ったギラを待つのは子供たちに剣を向けるシュゴッダム兵とリタ。リタはギラにラクレスが決闘裁判を望んでいると告げます。

 

 

【やっと仲間を手に入れた、”極悪人”ギラについて】

 5話にて、ギラは1話から課せられた試練「国際指名手配犯」という冤罪を無事に払拭することができました。もちろんそれはヤンマの証言、ヒメノの技術によるところもありますが、彼が民に対して真摯に心優しく向き合ってきた結果でもあります。第一関門を乗り越えた英雄に与えられた報酬は、2話からずっと欲しがっていた「宿命に共に立ち向かってくれる”仲間”」でした。もっとも、肝心のその仲間は無意識のうちにずっと仲間だと思っていたため、改めてそれを問われて自覚すると動揺と困惑と羞恥?でしどろもどろでしたが。

「仲間に…… なってくれるのか!?」

「あァ!? ……あ゛ァ!!?」

 うーん、ここのシーンすこぶるカワイイ。

 また、同時にギラはまたもや物語上で賢者(メンター)の役割を持つヤンマに”仲間とは何か”を教えられました。ヤンマ曰く、仲間たるもの”たとえケンカの真っ最中でも、ヤベェときには手ぇ貸して、終わったらまたケンカする”ものだそうです。要は”双方どんな状況でも助け合う存在”でしょうか。つまりヤンマは、危機的状況でも仲間を頼らず一人で突っ走ったギラの態度は、ヤンマにとっては「腑抜けたマネ」だったのでぶちのめした(未遂)んですね。たしかに、頼れる者を頼らずして行う行動は相手をナメているか自分の力を過信しているかで、腑抜けたマネであることには変わりないですからね。何はともあれ、無事仲間になったギラとヤンマは、はじめてギラ一人ではない「降臨せよ、キングオージャー!」ができました。この太陽に向かってオージャカリバーを掲げるシーン、アツくて最高。

 しかし、ギラには第二の試練が立ちはだかります。ラクレスはギラの大事な子供たちを人質に、決闘裁判を行おうとしているようです。予告を見るに、どちらかが死ぬまで決着がつかないのだとか。ただ、前作の影響で”決闘”という言葉に色々とエモーショナルな意味合いを乗せてしまいそうになるけども……。いやこれはノイズになるかもしれませんが。

 

 

【皆に方針を指し示す最弱へなちょこメンター、ヤンマについて】

 公式の第7話ストーリーのページ、最下部に「ヤンマの空振りパンチ」があるの、面白すぎるのでやめてあげてほしいです。そらハッキングタイマンとかいう頭脳全振りのケンカしかしない総長ですよ。そらそうよ。晒しものじゃないですか。でも、ヤンマはフィジカルがへなちょこの代わりに、誰に対してもその賢者(メンター)っぷりを発揮し、進むべき道を指し示してくれます。今回、その相手はギラ、そしてヒメノでした。

「シュゴッドはただの機械だ。神の怒りは人間の仕業だってお前が言ったんだろ。

責任は全部、命令する人間にある」

 この世界のテクノロジーを統べるンコソパの王が言うこの言葉、重い。これは仲間とは何かをギラに説いたときもそうですが、ヤンマが人に何かを示すときはそれを説くにふさわしいバックグラウンドをヤンマが持っているの、ちゃんと説得力を持たせているキャラクターデザインだとしみじみします。それこそ仲間なんてンコソパの王と民の関係そのものですし、シュゴッドが引き起こした災害の責任の所在を説くときもそうです。

「俺は親の顔も知らない。失う悲しみってのは、贅沢モンの特権だ」

 また、親を殺された憎しみにかられるヒメノに対し過酷な出自を語るのは、ある種いい意味で距離を置き、冷静に話すことができる立ち回りだと思いました。

 今回がヒメノの過去開示回だったように、いつかヤンマの過去も示される回があることでしょう。そのときを楽しみにしています。

 

 

【親の仇討ちに燃える王女、ヒメノについて】

 彼女の行動指針は3話からずっと明かされていないままでした。しかし、ここでやっと彼女が秘めていた目的の一つが明かされます。

「アレ(ゴッドスコーピオン)は私が貰う。毒の成分を分析して、これ以上同じ被害者が出ないようにする」

「バラッバラに分解して、パパと、ママの……」

 各国の先代王に触れられたのは今回が初めてです。両親を殺されたという過去により、ヒメノはゴッドスコーピオンに対して強い憎しみを向けていました。そしてそれが、いつもは人に任せるヒメノが前線で対応している理由でした。ただ、セミシュゴッドの大量発生を人的要因によるものだと考えているところからすると、機械生命体自体に対しては憎しみは抱いておらず、あくまでゴッドスコーピオンにのみ限定しているようです。やたらゴッドクワガタを欲しがっていたのは本当に愛でるためだったのかもしれないですね。もちろん後々何か明かされるかもしれないですが。

 また、今回ヒメノはゴッドスコーピオンが新たな仲間となるにあたり重要な役割を与えられていました。

「何言ってるか分からないけど、分かるよ。勝手なことばっかりされて、嫌だったよね」

「人間って醜い。……ごめんね」

 ヒメノは、王(人間)としてゴッドスコーピオンと向き合い、謝罪します。その誠実さの結果、ヒメノはゴッドスコーピオンに共感・理解を示すことに成功し、ついでにシュゴッドの甘酸っぱいラブロマンスにも一枚噛んだうえで、可愛らしく協力をお願いすることができました。この心の機微にも敏いムーブは、ギラには到底できない所業だったため、彼女がいてくれて本当に良かったです。ギラにはできません。2話でヤンマが言った「(仲間になんて)なるわけねぇだろタコメンチ!」を真に受けてずっと今までなってくれるわけがないと思っていた男ですから。閑話休題

 とにかく、今回彼女の目的が「親の仇討ち」ということが示されました。ちらりと見えた謎の暗殺者の顔が人間だったため、バグナラク側の刺客というわけでもなさそうです。ギラのメインストーリーに絡むならば、バグナラク側に通じている人間(ラクレスかボジマールか、あるいは別の人)が犯人かもしれないですね。新しく示されたサブストーリーの回収がどうされるか気になります。

 

 

【立会人のリタ、新たに策略を巡らすカグラギについて】

 王達が懸念しているのは、前回ラクレスが見せたゴッドクワガタZEROとそれによって降臨したキングオージャーZEROです。今までバグナラクの脅威を退けるのに必須のキングオージャーは誰も起動できない、あるいはギラのみが起動できるということが五王国を対等たらしめていました。が、それがラクレスにできるとなると、圧倒的な軍事力がシュゴッダムに集中することとなり、対等な同盟関係など築けるはずもありません。ヤンマとヒメノが毒に侵されたシュゴッド達の復旧に当たっているものの、また制御を奪われては根本的な解決とはならない……ということを踏まえ、何やら企んでいるらしいカグラギが動きました。

 最後に示された”決闘裁判”を提案したのは十中八九カグラギです。ラクレスに全権力が集中するのはカグラギやリタも避けたいはず。カグラギがラクレスにどう進言し、またリタはカグラギの策略をどこまで知り、誰にも明かしていないであろうカグラギの真意とは何か。この物語の英雄であるギラに早くも第二の関門が訪れることとなります。決闘裁判の詳細が分からない今はまだ予想しようもないですが、次回でまた状況が大きく変わるだろうことは明らかなので、1週間楽しみに待つことにします。

 

 

【内通がほぼ確定しているラクレスと地帝国バグナラクについて】

 わざとらしいボジマールとカメジムの話しぶりは、もう内通しているでいいんじゃないか?と思わざるを得ないものですね。

「しかし、何もかも都合がいい!民は団結し、ラクレス様の立場も盤石になります」

「”ついうっかり” ”不覚にも”、油断して奪われた秘宝のおかげで千載一遇の好機が……」

 デズナラク8世の「すべて(カメジムの?)計算ずくだろう(=お前の企てのくせに白々しい)」という意味合いであろう言葉から察するに、カメジムはバグナラクの参謀なんですね。バグナラクが絡んで起きていることはことごとくこの二陣営においてプラスの意味しか生みません。デズナラク8世の言いぶりからして、もしこの作戦のほぼすべてがカメジム(=ボジマール?)の手のひらの上だとしたらと考えてしまいます。恐ろしい話や……。

 ところで、カメジムからゴッドスコーピオンのソウルを奪ったのはカグラギでした。ギラに奪われたのも、カグラギの手によるものでした。3話でゴッドカブトを借りたいと言い、またゴッドスコーピオンの場所が判明したと話していた場所に同席していたのもカグラギです。もしかしたらこの先、この項目にカグラギの名前が連なる可能性もゼロじゃないよな……と戦々恐々としているのはちょっと過敏になりすぎかもしれませんね。閑話休題

 さて、別にこのままでいればキングオージャーの支配権を占有できるラクレスが、リスクとなる因子でもないギラをその手にかけることを決めた理由は何でしょうか?しかも決闘裁判では自分が負けるリスクはゼロではありません。今までの狡猾なラクレスらしくないな……?という若干の不自然さは否めない気もしますが、これも次回明らかになるでしょう。ついでに言えば、次週4/23 10時からスピンオフ「王様戦隊キングオージャー ラクレス王の秘密」がご丁寧にも配信してもらえます。スピンオフで枠を設けて語られるのって今までの戦隊ものでもよくあることなんでしょうか。にわかなのであまり知らないのですが、何にせよ来週は本編からハシゴして見ることが決定しています。楽しみで仕方ないです。

 

 

【細々とした脚本のここすき】

 今回も本編のメインからは少しはずれる話を。

・従者たちの存在 -王を支える者たちについて

 ヤンマVSヒメノの復旧対決にて、それぞれの従者であるシオカラとセバスチャンが今回多く映されていました。セバスチャンは執事めいた執事のためわかりやすかったですが、シオカラも前線で動くというよりはサポート重視の役割のようです。1話にて「ヤンマ総長、オイラがいないとすぐ揉めるでしょ!」と言っていたところからも併せて、外交でも緩衝材のような存在なのでしょう。あの人好きしやすい子犬みたいな性格は憎めないので適材適所と言えます。うーん、かわいい。

 そして、二人は従者として、必要であれば仕える王の命に反する形となっても、状況を見極め現場に指示を出す判断力と実行力を持っていました。最後に決着を聞いた際にヤンマとヒメノも、それを理解したうえで「今回の勝負はおあずけだ(おあずけね)」みたいな態度をとっているのも非常に良かったです。従者たちがそのときそのときで自分たち王が不在のときでも判断できることを理解し、信頼し、その判断に納得しているからこそなのだと思います。今までずっと王のそばにいながらも彼らの有能さにはあまりスポットライトが当たっていなかったため、そこが今回描写されていたのがとてもよかったです。

 

 

【さいごに】

 今回は「ギラへの報酬」「ヒメノのセントラルクエスチョン」「ギラへの第二の課題」が主軸となっていたと感じました。物語としてはまだまだ冒頭、第一幕が終わるか終わらないかといったところです。次から次へと展開が進んでいくため、次週の話からも目が離せません。

 

 

 

喧嘩するアッカにぴょんと抱き着いて宥めてるシオカラくんほんとかわいかった

ある青年が邪悪の王を志す脚本が上手すぎるという話(王様戦隊キングオージャー1話~6話まとめ感想)

 

 

【はじめに】

これは2023年3月に初めてスーパー戦隊シリーズに触れた人間が「王様戦隊キングオージャー」の脚本に感動し、その感想を記録するものです。とはいえ、現在履修した戦隊シリーズが「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」と現行の「王様戦隊キングオージャー」“のみ”という、長年戦隊シリーズをたしなんでいる人からしたら「どうしてよりによってドンブラザーズなの……!?」と思われること請け合いのにわかですが、興味をひかれたものから追って履修進めていく予定ですのでそこはご容赦ください。取り急ぎこの記事では、6話まで履修した現時点での全体の話とメインキャラクター勢についての感想をあらすじと共に書いていきます。

 

 

 

【「王様戦隊キングオージャー」という物語の世界について】

 この物語の舞台はチキューという我々が住む地球に近い星が舞台のファンタジーストーリーです。五王国がチキューを統べ2000年に渡って平和が続いてきたが、1話にて地帝国バグナラクが再びチキュー上に侵攻してきているため、チキュー上の人類はそれに対抗する必要があるということが描かれました。が、この物語の本質はバグナラクを退けることではなく、主人公にもっとフォーカスした話になります。

 

 

 

【まだまだ未熟な英雄、ギラについて】

 ギラは心優しく勇気があって子供を何よりも慈しむ、献身の精神に溢れたこの物語の主人公です。1話にて孤児院の長男的役割を担い子供たちの面倒を見ているシーンで、この性格が十分に表現されています。また、バグナラクに襲われ子供たちが傷つけられた際、その対応を完全に放置するラクレスの欺瞞および野望……チキュー統一とそのために民を道具とする姿勢に怒り、そんなラクレスが正義なら邪悪の王になると決意するような苛烈な青年がギラです。子供たちの平穏を願う心の優しさと、それを守るために剣を手に取れる激しさを併せ持つ、とても魅力的な主人公然とした主人公ですね。

しかし、ギラはまだまだ若く青い青年です。というのも、2話冒頭で「ンコ……ってなんだ?」と言っていたように、彼の世界はシュゴッダムのみで、自分の手が届く範囲だけでした。もっとも、孤児院という十分な学習が受けられない環境で育ったであろうギラに知識を求めるのは酷かもですが。

というわけで、2話から5話まではギラの王政見学です。ギラは2話でンコソパのヤンマから民と王の在り方を学びました。民は王のヤンマに“テッペン”であることを望み、ヤンマはそれに応えていました。応えてくれたヤンマに民はついていき、もし不手際があればそれを補い支えるのはンコソパ国民でした。ギラは、王と民は統べるもの統べられるものではなく、共に支えあう対等なもの、「仲間」だと教えられました。また、ギラは仲間という概念に感銘を受けたのか、以降他国の王を自分の「仲間」にしたいと言い続けています。

3話は王としての内政を学びました。3話の舞台イシャバーナにて、ヒメノが「わがまま」と称して行っていたのはいわゆる公共事業と呼ばれるものです。国民の住居・職を整備し、福利厚生を与え、危機に瀕したら守る。3話ではカーレとエッダという国民をピックアップし、ヒメノが公共事業を細やかに行っていることが注力して描かれていました。ギラは、確固とした意志(「あなたの幸せも私のモノ(=あなたの幸せは私によって成り立つ義務がある)」cf.イシャバーナテーマソング“World Is Mine!”)があれば、王の権力によって行使される事柄も民のためになることがあるということを学びました。

4話は王としての外交を学びました。学んだというよりも、その餌食になって身をもって思い知ったというのが正しいかもしれません。4話の舞台トウフで、ギラはカグラギの謀略にまんまと乗っかり、カグラギはリタにギラの身を引き渡すことに成功します。ギラは外交の材料として利用されてしまったわけですね。また、戦闘中にギラは「操り人形には何も守れない」とカグラギを諭しましたが、はたしてカグラギにどれだけ響いていたか……。多国間でうまく立ち回り自国の利を最大数にするには、かなり先々まで見通すための知識と地頭の良さと狡猾さが求められるため、ここはまだギラには荷が重いのかもしれないですね。

5話は一つの区切りの回です。ギラにとって最初の試練である、1話からラクレスにおっ被せられていた国際指名手配の罪を精算しました。加えて言うならば、ゴッカンの王リタからの学びとしては「たとえ誰から疎まれても、王としての正しさを貫くこと」でしょうか。現在正義として堂々と大手を振って歩いているラクレスに対抗するんですから、これはギラ個人としては最も重要なマインドかもしれないですね。何はともあれ、ここまでで出会ったヤンマとヒメノの協力および各国で培ってきた民(子供たち)との信頼によって、ギラは見事無罪を勝ち取ります。おまけで、実はシュゴッダムの正当な王位継承者であったことも判明しました。何はともあれ、晴れて5人そろったキングオージャーでバグナラクを退けたのち、ギラは晴れ晴れとシュゴッダムに帰りました。

とはいえ、シュゴッダムへ帰還した6話でもギラの受難は続きます。6話は1話で示されたこの物語の最終目的、「ギラが邪悪の王となること」を再定義する話でした。オージャカリバーを操れる力に目を付けられ、国民を人質にバグナラクへ行くよう脅迫されるものの、ヤンマの進言によってそれは阻止されました。が、バグナラクへの対抗手段であるキングオージャーはなぜかラクレスによって起動され、偶然ギラが手にしていたゴッドスコーピオンは何を思ったのかラクレスのキングオージャーを破壊してしまいました。それを見たラクレスを妄信していた国民は改めてギラを極悪人と認識し、ギラは改めて邪悪の王を目指すことになります。

一視聴者としては、1話から6話まででこの物語の主軸となる「ギラは何者で、何をして、何を目指すのか」が明確に示されたので、ノンストレスで向き合うことができて非常に嬉しかったです。今後はメインストーリーに絡めた「王としてふさわしい者になるためには」という切り口で、未熟なギラ自身の成長が描かれていくといいなと思っています。何しろ、彼は王としての素質は十二分にあるものの、まだまだ何も知らない少年なので……。

 

 

 

【未熟な英雄を導くエリートヤンキー“賢者”、ヤンマ・ガストについて】

 ヤンマは6話時点でギラに続いて最もその生い立ちや性格が公開されているキャラクターと言っていいと思っています。ンコソパ国王である彼は1話でラクレスの権力への欲に気づき、五王国同盟を拒否しました。頭のいい人ではあるものの、それをタテにして侵略の口実にしようとしているところまで気が回っていたか、はたまたそれでもかまわないと思っていたのか、そこまではまだ分かりません。何にせよ、ヤンマはラクレスに頼らずにキングオージャーの起動に試みるも失敗し、それは未知の理屈によりギラが担います。なぜギラが起動できたのかを知るため(そしてラクレスへの嫌がらせも込みで)、ヤンマはギラをンコソパへ誘拐しました。

 2話はヤンマメイン回です。ヤンマの国ンコソパについて、民とヤンマの関係性、そしてヤンマ自身について多くの情報が提示されました。ンコソパはテクノロジーの国です。が、かつては「シュゴッダムの下請け仕事をやらされてきた」、つまり属国の様な扱いだったことが予想できます。それが気に食わなかったヤンマは元市民の王となりました。貧民街出身で意地とドタマでのし上がってきた生い立ちは、ヤンマが“テッペン”に固執している由来です。その固執のあまり外交はかなり荒っぽいですが(シオカラくんの「“また”シュゴッダムと喧嘩して!」からも苦労がうかがえる)、民は過去の属国扱いから今の情勢まで持ち直したであろうヤンマに感謝しまた慕っていると思われるため、そんなヤンマを「アンタが総長だ」と称えてくれるのでしょう。またヤンマは非常に頭が良く、この世界の“便利(=システム)”はおよそヤンマが管理しており、加えてシュゴッドを制御可能にしたのもヤンマだそう。のし上がったなりの実力を持っているヤンマが定期的にハッキングタイマン(という名の民へのわからせイベント)を実施しているらしいのが、この国の民と王の在り方、王の実力、王の性格すべてを如実に表しています(王直々に国民とタメはるって……)。

 また、彼が貧民街出身というところも対ギラでは非常にいい要素となっています。ヤンマもギラも同じ市民としての視点を持っており(後程ギラは元王族と分かりますが、彼自身が「僕の過去はここにはない」と否定します)、それゆえにギラは切羽詰まった極限状態でなくても“邪悪の王”の仮面がはがれがちなのでしょうか。ヤンマも、同じくラクレスを憎んでいるという点に加えて、生い立ちの点でも共感する部分が多いのかもしれません(キングオージャーでの戦いにおいても、ヤンマとギラの二人のときはやけに息の合った演出が多かったように思います)。何にせよ、“邪悪の王”ではないギラとの対話を経て、ヤンマは自分のプライドを一度は曲げてラクレスへ謝罪する決意をしますが、その瀬戸際でヤンマはやはりプライドを守る方へ舵を切り、そしておそらくこのタイミングでギラの面倒を見る覚悟も併せてしているんじゃないかと思っています。3話以降、ヤンマは度々「帰るぞ」「ギラ探し手伝わせんだよ」という発言が見られ、もちろんなぜギラがキングオージャーを動かせるのかを解明したいのだとも思いますが(バグナラクが巨大化した際も「どういう原理だ」とこぼしていたので原理への探求心は強そう)、6話で状況を説明し釘を刺しに来てくれたあたりでも、兄貴分としての面倒見の良さが垣間見えているような気がします。

おそらく、ヤンマはキャラクターのアーキタイプ(元型)のうち賢者(メンター)を担っているのではないかと思います。賢者は英雄を教育し、守護し、何か価値ある贈り物を与え、正しい方向へ導くキャラクターです(引用URL)。正しい方向へ導くという点において、ヤンマは6話の橋の上でばっちり決めてくれました。城下町から城へ続く橋の上で、ギラが市民から王を志す者として変わる一つの通過点を象徴する場所を共に歩き、力を持つものとしての覚悟と在り様を問い、そして何かあった場合のセーフティーとしての己の存在を示すというのはまさしく賢者としての言動だったかなと感じました。

最後に、この物語におけるヤンマの最終目的は「“テッペン”を取ること(=シュゴッダム属国からの完全な独立?)」と今のところ仮定していますが、今後どうなるかとても楽しみです。いうてまだ6話ですからね。

 

 

 

【おそらく7話で最終目的が示される女王、ヒメノ・ランについて】

 6話の現段階において、ヤンマ以外の王達はおおよその主目的や意図がまだ明らかにされていません。ヒメノはその筆頭です。彼女の3話~6話の言動はそのほとんどが「シュゴッドをちょうだい」に由来していますが、肝心のその目的は未だ不透明です。「愛でるために決まってるでしょ」「民を守るためには必要なの」と現在示されている理由も何となく曖昧ではっきりしません(といいつつも、おそらくシュゴッド五体のうち一番手厚く世話されて“愛で”られているのがゴッドカマキリなのは確か)。ヒメノはシュゴッドを生き物として認識している側面が強く、よって6話で作中初めて「本当にシュゴッドと話せるの……?」とギラとシュゴッド間の謎コミュニケーションに言及します。また、美しく、かっこよく、かわいいものを愛しているため、3話ではヤンマの粗暴な所作に眉を顰め、逆にギラの洗練された所作には感心する様子を見せました。その好印象は、後々ギラの指名手配犯疑惑を払拭する際に調査に協力する動機の一部になっていたのかもしれません。閑話休題

3話の尺のほとんどは、ヒメノの内政を描くのに使われました。少々横暴ではあるものの、老朽化した住居の更新、不自由な国民への援助金支給、業務委託は紛れもなく正しい内政であり、ヒメノが優れた王であることを示しています。ただ、これはヒメノがどのような人格を持っているのかを間接的に表すだけにとどまり、彼女がどのような過去を持ち、どのような目的で動いているのかまではわかりません。おそらく、この辺りが判明するのが7話なのだと思います。わくわくしてきますね。

 

 

 

【三枚目の舌が何を語るか読ませない“変化する者”、カグラギ・ディボウスキについて】

 アーキタイプの一つ“変化する者”とは、掴みどころがなくコロコロと変化するキャラクターだそうです。言っていることが真実かも嘘かも分からず、助けた次には危機に陥れる、物語をかき乱すキャラクターは大抵英雄の異性であることが多いそうですが、この物語においてそれはメインキャラクターの中で最も体躯が大きい大殿様、カグラギです。

 彼の真意は今のところ全く分かりません。まず彼は3話にてラクレスにギラを国際指名手配犯に仕立て上げることを進言し、その手筈を整えました。秘宝を借りることすらできたことを思えば、今までで相当の信用をラクレスとの間に築いていたと考えられます。そういえば、リタが3話時点ですでにイシャバーナのフラピュタル城にいたのはカグラギからの話を受けてのことなのでしょうか。にしてはギラが国家侵犯の罪を被せられる前(あくまでシュゴッダム内の犯罪者に過ぎない)なので、そのタイミングで国際犯罪でないと動かないリタが動いているのは不自然な気もしますが……。閑話休題、話を戻します。

一方、4話でカグラギは他国の王からの信頼も示しました。ヒメノの「カグラギにシャワー借りるの」、ヤンマの「カグラギにギラ探し手伝わせんだよ」は裏返せばそれが許される、許してもらえるというカグラギへの信頼に基づいています。カグラギは人をもてなすのが上手く、ギラ達にとって聞こえのいいことを選んで話していることがよく分かります。人をよく観察しており、もてなしの際にもギラが泥だらけの野菜を渡してきた子供に対してどのように返答するか確かめるなど、度量を図るような行動が見受けられました。また、作中において交渉を有利に進める技に長けており、バグナラクとの交渉の際にも典型的な行動心理学のドア・イン・ザ・フェイス(一度高めの要求をした後ハードルを下げて本来の要求を通りやすくする手法)を活用していました。

以上の描写から、カグラギが人心掌握術に長けており、またラクレスに追従するような言動を見せるもその真意はラクレスに媚びへつらうことではない(何か別の真意がある)ように見受けられます。先日発表されたトーフテーマソング“宴じゃオージャー!”にて「『嘘は言わぬ』とホラを吹く 一枚、二枚、三枚舌」という一節があります。この歌では歌唱を二人が担い、表の顔と裏の顔を表現しており、上記の一節は表の顔を歌う人が担当しています。おそらくその三枚目が、時折入る“裏の顔”なのかなと予想していますが、6話時点でこの顔はほぼ見えていません。意味深なカットが作中で一番多いのはカグラギと思っているのですが、今のところそれらが全て点で、うまく繋げる線を引けないでいます。彼の手にかかると、ゴッドカブトを借りたこともゴッドスコーピオンをギラに奪われたことも全てがカグラギの掌の上のように思えてしまうのが恐ろしいところ。真相が分かるのはおそらくもっともっと先の話になると思うのですが、どんな形で判明するのか楽しみで仕方ありません。

 

【謎の多いコミュ障、リタ・カニスカについて】

※一部修正しました

 リタ・カニスカについては現状作中で最も不明点が多いといって差し支えないと思います。法を行使できる権力を持ちながら正しさを誠実に追及する5話の言動から、リタは非常に聡明かつ強い意志を持つ人だということはわかるのですが、肝心のその指針や根幹を何がなしているのかがさっぱりです。わかるのはもっふんに対して異常なまでにご執心ということだけ。可愛いですからね、もっふん。分かりますけど。

 一方で、リタに対しての周囲の評価はもう少し描かれています。4話にてリタが登場した際、ヒメノは眉を顰め、ヤンマは顔を背けました。王達からもあまりいい印象はない、あるいは過去に辛酸を舐めさせられた経験があるのでしょうか。また、従者のモルフォーニャいわく、「(罪人あるいは元罪人である)国民全員、リタのことが嫌いなの」だそうです。他国の王のみならず、自国民にすら疎まれながらも自分の信条を貫くその姿は、未来のギラの在り様を暗示しているのかもしれません。リタのその強さが何によってもたらされているかが今後明らかになれば、ギラがまた一歩成長する展開に繋がる可能性はありますね。

 そういえば、強烈なビンタをかましラクレスに対して「この程度で痛むのか」と言っているあたり、ラクレスにいい感情を抱いていなさそうなのは確かです。それでも6話でラクレスに切りかかったギラを止めたあたり、やはり私情と仕事は完全に分けるタイプの人なんだと思います。そういう厳しさと正しさを持っている人が現在最も道化役をやっているというアンバランスさが非常に魅力的で、今後の展開が期待できるキャラクターです。

 

ラクレス・ハスティーと地帝国バグナラクについて】

 ここは関連して話さざるを得ないところです。何しろ、これまでの展開でバグナラクの動きがラクレスの思惑と完全に合致しているので。ほとんどの人が予想している通り、ラクレスとバグナラクには何らかのつながりがあると考えるのが自然です。1話にて自国が有利な五王国同盟を結ぶ、あわよくば他国に攻め入る口実が欲しかったタイミングで、「地底深くで力を蓄え」ていたバグナラクは侵攻を開始しました。2話にてバグナラクはシュゴッダムから手を引いてンコソパへ侵攻し、ラクレスは五王国同盟からンコソパを外し防衛出動はせず、ンコソパ国民のヘイトをヤンマへ向け、謝罪を要求しました。例外として3話でのバグナラクの目的は三大守護神の捜索で何かに繋がることはありませんでしたが、4話では「ゴッドカブトがここにあるのは分かっている」とデズナラク8世が自ら言ってくれました。ラクレスがカグラギに貸し与えたシュゴッドのありかを分かっているならば、貸し与えた場にいた誰か(ラクレス、カグラギ、ドゥーガ、ボシマール)がバグナラクに通じている他ありません。またこの1件により、ギラがキングオージャーを奪い他国に攻め入ろうとしたという冤罪が確定しました。ギラはこれによりあわや死罪というところまで行ってしまいます。5話ではラクレス一行がやっと解読できたゴッドスコーピオンのありかに関して、カメジムが「“虫の知らせ”がありまして……」と何やら意味深に言っていました。実際にゴッドスコーピオンのソウル(原動力や制御装置の様なもの?)はゴッカンの地下にあり、5話のどさくさに紛れて奪われ、6話にてそれはラクレスの英雄王としてのPRにまんまと利用されてしまいました。そもそも、ラクレスの従者ボシマールの小指を立てる仕草がカメジムと同じであること、また名前の由来がキボシマルウンカという“カメムシ”目の昆虫説があり、これが甲虫ではないことからも内通者である説が非常に有力です。ボシマールとカメジムが同一人物であるというのはほぼ確定として、これをラクレスが知っているのか、知っているならいつから通じているのか、ギラを王族から排除したことに関わっているのか、ラクレスとボシマール(カメジム)の目的は何なのか……など疑問は尽きません。

 

【王達のシンボル、キングオージャーについて】

 筆者はスーパー戦隊シリーズに疎いため、合体ロボのロマンや象徴はまだあまりよく分かりません。ただ、2話から5話で人を増やしながら戦ってきたキングオージャーの動きは、その面子の関係性がダイレクトに現れていると感じました。特に5話は足並みが全くあっておらずてんでバラバラだったこと(「いいから黙って引っ込んでろ」で一致団結する我の強さっぷり……)、戦闘後に全員がそれぞれの方向へ四散したことも併せて、まだまだ王達の意思や目的が合致するには時間がかかることが分かりやすく示されています。これがどう変わっていくかが、今後のシナジーの高まりを表していくんでしょうね。

 個人的なイメージとして、合体ロボは何か別のアタッチメント(2話のローリングハンマー、3話のスネイルガトリング)で強さが変わり、他はあまり変化しない印象だったので、「乗り込む人間がいるとそのシュゴッドの力が使えるようになる」は全員が揃ってなくても強制的に降臨できるキングオージャーの面白さなのかなと思っています。今後も1話から4話のように一部欠けた面子でキングオージャーを操作する展開が来ることで、彼らの関係性を表したり、あるいは何かの変化点になるような展開が来たりしたら面白いですね。もちろん、最終的にちゃんと一致団結した本当の強さが示される展開がくると、一番熱くて燃えるんですけども。

 

【細々とした脚本のここすき】

 おおまかな話はし終わったので、ここからは蛇足の話です。

 

  • ギラが各地で振りまいた国民との縁描写の役割

 ギラは2話でンコソパの女の子と、3話でイシャバーナの男の子と、4話でトウフの男の子と仲良くなりました。それはひとえにギラの人好きの良さ、コミュ力、子供を慈しむ心の結果です。これは最終的に、5話でリタが無罪の判断を下す一助になりました。

 ただ、もしこれが取ってつけたように入れられたシーンだった場合、私は「5話のために無理やり入れられたシーン」感をぬぐえなかったと思うのですが、ある程度しっかり“そう”なるためのシーン作りがされていたのが上手だと思っています。

 

  1. ンコソパの場合

ハッキングタイマンが始まった時、ギラは「てめえは引っ込んでろ」されてすごすご退場していました。大盛り上がりのハッキングタイマンの中、ギラはおそらく背が小さくてタイマンを見られず困っている子供を見つけたのでしょう。ギラは肩車をしてやり、それがきっかけで仲良くなったのだと想像がつきます。あの子のおかげで視聴者も突然始まった謎のお祭りがハッキングタイマンとかいうトンデモイベントだということを知れました。

  1. イシャバーナの場合

 イシャバーナにて、ギラはヒメノが例のわがままによって家を木っ端みじんに爆破させるところを見ていました。家を失ったであろう子供たちに対して、ギラはそれを気にかけていたのかもしれません(の割にはレインボージュルリラ食べてから帰るとか言ってましたけども。食いしん坊か?)。連行される際、ヒメノを待って若干暇をしていたであろうギラは、たまたま通りがかった家を爆破された男の子を見かけ、思わず声をかけ、家について聞いたのかもしれません。その子が教えてくれたので、ヒメノの真意、内政としての意義を知ることもできました。

  1. トウフの場合

 トウフにて、あの男の子はギラをもてなす市民の一人でした。泥や虫食いを指摘したのは、あの子が幼くそこまで気が回らなかったのかもしれません。ただ、ギラはそんなことをあげつらうような男ではない為、泥ごと食べて褒めます。その所作は、ギラを見極めようとしていたカグラギを納得させるに足るものだったことはカグラギの表情から伺えました。もっとも、その後の鍋タイムで生野菜丸かじりしているところを見ると単純に野菜好きだっただけか?という気もしてきますけどね。

 

 つまり、全てのシーンでただ子供と仲良くなるだけではなく、何かしらの意味やシチュエーションを付属させていることで、複数の意味を持って作られたシーンと受け取ることができます。これが「かなり丁寧に脚本を書いているな……」と感心した点でした。

 

  • ストーリーライン上における戦闘シーンの意図

 スーパー戦隊シリーズに限らず、ニチアサキッズタイムの作品は、日常→異変→敵登場→戦闘→ホビーを使用して撃退→日常……を繰り返すものです。それを毎話やるという縛りの中で、主人公の成長やメインストーリーの展開を構築しなければいけません。となると、毎話の敵および戦闘シーンがメインストーリーにあまり関わらないこともしばしばあります。例えば、道行く一般人が敵に改造させられてしまったのでそれを救出するといった展開は、メインストーリーから浮いた一つの問題提起とその解決になりがちな印象です。それに毎話尺を割く中でメインストーリーを進める必要があるため、メインストーリー単体の進捗としては結構ゆっくりになることが多い気がしています。

 ですが、キングオージャーは毎話敵が登場することにメインストーリー上での意味があるため、戦闘シーンで物語を進行させることができます。それが、現段階でたった6話しか公開されていないにもかかわらず、大きな満足感を与えてくれる一因と考えています。「スーパー戦隊シリーズで全員が必ずしもそろう必要はない」というのは戦闘時に全員強制招集制の前作「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」で提示された新しい可能性でしたが、キングオージャーは更にそれを一歩進めてくれたのではないか、と感じ、今後のスーパー戦隊シリーズの自由度がさらに広がったのではないか、と次回作への期待を今から深めています。気が早い。

 

【さいごに】

 一通り書き終わったら10000字を超えていました。どうにかして6話という一つの区切りのタイミングで7話が公開される前に書ききりたかったので、書くことができて良かったです。明日4/16には7話が公開されますね。今回は6話分まとめてだったのでこの文章量ですが、次回以降はもう少しコンパクトに収められるような記事にできたらと思っています。